【猫の尿石症】自宅で検査も!獣医師が教える予防と対策3ポイント

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猫と病気

猫を飼っている人なら一度は耳にしたことがある病気「尿石症」ですが、どういった症状がみられるのでしょうか。

尿石は一度除去しても再発しやすい病気の1つです。フードに気を付けたり、動物病院に通って定期的に検査を受けるなど、飼い主さんの負担も大きくなります。

今回は、尿石症の症状や原因について詳しく説明した後、自宅で簡単にできるおすすめの対策や、早期発見のための検査法などをご紹介したいと思います。

 

尿石症の症状とは

尿石症の症状は、尿石による排尿障害によっておこります。下記は、実際に尿石症を発症した猫で多くみられる症状です。

  • 頻尿(頻繁に排尿場所に通うが、1回の排尿量が少ない)
  • しきりに陰部をなめる
  • 血尿がみられる

上記のような症状が認められた場合は、尿石症を含む「猫下部尿路疾患(FLUTD)」を疑うべきです。

重症化すると尿石によって完全に尿路が閉鎖されてしまい、水腎症(※1)や尿毒症(※2)を発症し命にかかわります。

※1水腎症:腎臓でつくられた尿が膀胱や尿管など下部尿路に流れず、腎臓にたまってしまうこと。
※2尿毒症:尿中に排泄されるべき物質が排泄されず、血液中に高濃度で存在することで中毒症状を起こすこと。
参考:獣医内科学<小動物編>

尿石の種類と原因

尿石には様々な種類があり、みなさんよく耳にするのは「ストルバイト」と「シュウ酸カルシウム結石」でしょう。
この他にも、「尿酸塩尿石」や「シスチン尿石」など稀ですが特定の種類の猫で頻発するものなどもあります。

 

ストルバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム結石)

マグネシウム由来の結石で、尿中にアンモニウムとマグネシウムのリン酸塩が多く含まれており、尿がアルカリ性に傾いていると形成されます。
猫は飲水量が少なく、排尿回数も少ないため、膀胱内に尿が長くとどまっています。すると、尿中のリン酸塩の濃度が高まりストルバイトが形成されやすくなります。

犬の場合は、尿路感染症によって明らかに尿がアルカリ性に傾いている場合に形成されるのですが、猫の場合はそのような感染がなくても猫本来の習性から形成されやすいという特徴があります。

雄雌関係なく、また全年齢でできる可能性がある結石です。結晶の形が鋭くとがっているものが多く、膀胱や尿道を傷つけるため、血尿などを起こす可能性も高くなります。

 

シュウ酸カルシウム結石

近年増加傾向にある、カルシウム由来の結石です。

知らない方も多いと思いますが、圧倒的に雄で多く、猫ではとくにバーミーズやペルシャなどに多く見られます。尿中のカルシウム量、シュウ酸量が多くなり、尿が酸性に傾くと形成されます。7歳以上の高齢猫でできる可能性が高いと言われますが、統計学に明らかなデータは存在しません。

なぜ雄猫に多くみられるかというと、雄の性ホルモンである「テストステロン」が肝臓でシュウ酸塩を産生するためと考えられています。このような点からも去勢により精巣を摘出することは病気の発症予防に有効でしょう。

なお、尿中にシュウ酸やカルシウムを多く排泄する食事は、カルシウムやビタミンDが大量に添加されているフードなどです。成長期の仔猫には、カルシウムやビタミンDは必要な栄養素ですが、年齢を重ねてきてからはあまり与えないようにするとよいでしょう。一方、クエン酸は尿中のシュウ酸を軽減させる役割があります。

何度も再発するシュウ酸カルシウム結石でお悩みの場合は、meijiファルマから販売されている犬猫用サプリメント「クエン酸カリウム」をお試しください

 

尿酸塩尿石

尿酸アンモニウムを主成分とする尿石です。

猫では稀な尿石ですが、肝機能が低下する高齢猫でしばしば認められます。タンパク質が分解されて発生する「アンモニア」は肝臓で無毒の「尿素」に転換されます。肝機能が低下すると、尿素への転換能も落ち、尿中にアンモニアが排泄されやすくなることによります。

肝機能が低下してくる高齢猫では、高蛋白フードは避けたほうが無難でしょう。とくに肉由来のフードは尿酸塩尿石を形成しやすいと考えられています。猫は肉食動物であり、たんぱく質を必要とする動物ですので、高齢になると魚由来あるいは鶏肉などプリン体の含有量が少ない良質な蛋白を摂取できるフードをおすすめします。

 

シスチン尿石

こちらは、腎臓でのシスチンの吸収などに関連して形成される尿石だと考えられています。

しかしメカニズムやリスクははっきりとしていません。遺伝的な背景が強いと考えられており、雌雄差では雄に多い尿石です。現在までにシスチン尿石を発症していない場合は、あまり気にしなくてもよいでしょう。

 

尿石予防(対策)のための3つのポイント

このように、尿石には様々な種類があり、それぞれ形成される条件やリスクなどが異なります。

近年は尿石症(下部尿路疾患)を予防する専用フードなども販売されていますが、実は、こういったフードの多用により、尿のpHが酸性に偏ってしまい「ストルバイト」は形成されないかわりに「シュウ酸カルシウム結石」の猫が増えるといった問題も出てきています。

尿石症の予防には、フードに頼るよりも複数の対策を組み合わせて、尿石症ができにくい環境づくりを心がけましょう

 

pHコントロール

まず、尿石が既にできてしまっている猫や、摘出しても再発してしまいやすい猫の場合は、特定の尿石が形成されやすいというリスクをもっているため、対策フードなどで適切に尿pHをコントロールし、対処する必要があるでしょう。

  1. 治療として既にできてしまった尿石を溶かすには動物病院で獣医師に処方されたフードを使用するのが一番です。
    というのも、1か月程度処方食を与えても溶けずにひどくなる場合もあります。そういった場合は、外科的に取り出すことも検討した方がよいからです。
  2. 尿石が溶けたあとの予防食の場合も、できれば獣医師と相談して決めましょう。
    ただし処方食は高価すぎることや、動物病院に頻繁に連れていくのはコストがかかって難しい場合は、自宅でできる限りの予防をしましょう。

下記のポイントを参考にしてください。

月1回程度、自宅で尿検査をする
(ウロペーパーで尿pHを確認→
いつもと大きく値が外れた時は動物病院へ)
初期症状を見逃さない
(頻尿で1回の尿量が少ない、血尿)

 

水分補給の徹底

獣医師として、私が最もおすすめの予防・対策は飲水量を増やすことです。

猫に頻発する病気の中に「多飲多尿」になる甲状腺機能亢進症というものがありますが、この病気の猫で結石ができていたという経験は今までありません。

先ほど尿石の種類の説明でも書きましたが、猫はとにかく飲水量が少なく、少量の尿が膀胱に長時間ためられ、たまって膀胱の細胞が刺激をうけると尿意をもようし排尿します。
この猫の一般的な習性である長時間膀胱に尿を溜め込むという行為が尿石の形成を促してしまいます。とくに夏場は脱水を起こしやすく、ますます尿量は減り結石ができやすくなります。

食事と一緒にかならず水分をとるような習慣を子猫の時期からつけるように工夫しましょう。
また、水分含有量の多いウェットフードを上手に取り入れるのも有効です。

 

下部尿路感染症の予防

最後に、水分補給とも関連しますが、下部尿路感染症を予防することも重要な予防・対策法です。

下部尿路感染症は猫で多くみられる疾患の1つです。というのも、やはり猫は尿量が少なく長時間膀胱に尿がためられるため、膀胱がもともと持っている細菌などから守る機能(バリア)を突破して細菌が繁殖してしまうことがありからです。

飲水量を増やすことに加えて、ストレスフリーな環境をつくることをこころがけましょう
ストレスにより免疫機能が低下すると、感染症にかかりやすくなり、膀胱炎などの下部尿路感染症の感染率もあがります。膀胱炎の原因菌の大半は、消化管に常在している菌です。
免疫機構がしっかりと働いている場合は問題ない菌ですが、免疫力が低下すると病原体となってしまいます。

 

【猫の尿石症】自宅でできる対策・予防法(まとめ)

猫に多い病気である「尿石症」には、主な原因となる結石「ストルバイト」と「シュウ酸カルシウム結石」が2種類あります。

いずれの場合も、排尿障害を起こすため「頻尿」「血尿」などの症状を引き起こし、完全に尿路がふさがるなどの重症化した場合は「水腎症」や「尿毒症」などの命にかかわる病態を引き起こすため注意が必要です。

尿石は、飲水量が少なく尿を膀胱に長時間ためるという猫の習性によって、形成されやすいと考えられています。処方食が有効な場合もありますが、むしろ別の種類の結石をできやすくしてしまうリスクなどもあります。

飲水量を増やすことや、定期的に尿検査を実施する、初期症状を見逃さないといった基本的な対策をしっかりと実行しましょう。

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