【猫風邪】冬は特に注意!主な症状や予防法について解説

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猫と病気

寒い季節になると、人間と同じように猫も風邪に気を付けないといけません。『猫風邪』は、寒い季節になると拡散される種々のウイルスによって引き起こされる疾患のことを言います。

 

人間の風邪と同じで、健康な成猫ではそれほど問題になりませんが、子猫や老猫など、免疫力が低く体力がない猫では重症化してしまうこともあり注意が必要です。

重症化する前に、飼い主がいち早く対応できるよう『猫風邪』の主な症状、対応や予防法について解説したいと思います。

猫風邪とは

冬によくみられる猫の風邪様症状を、俗に『猫風邪』と言います。

実は、獣医の世界では『猫風邪』という疾患名は存在しません。正式には、寒い季節になると拡散されるいくつかのウイルスによって引き起こされる『猫のウイルス性疾患』のことです。
『猫風邪』と呼ばれているように、人間の風邪と同じで、通常数日~1週間程度の体調不良が続きますが、体内の免疫細胞によってウイルスの増殖が抑えられると、次第に症状は軽くなり自然治癒する疾患です。

しかし、子猫や老猫など免疫力が低く体力がない猫では重症化してしまうため注意が必要です。重症化させないためには、飼い主がいち早く体調不良を見抜き、適切な対応をとる必要があります

そのためには『猫風邪』について、原因や症状、予防法などをしっかりと理解するところからはじめましょう。

猫風邪の原因ウイルス

『猫風邪』は冬になるとよくみられるウイルス性疾患というお話をしました。

つまり、『猫風邪』の原因はウイルスということになります。原因となるウイルスは主に2種類で、猫ヘルペスウイルスと猫カリシウイルスです。いずれのウイルスも冬の乾燥した空気中で拡散されやすく、主に猫の気道や口腔粘膜から感染して体内で増殖します。感染力も強いため、罹患猫の“くしゃみ”や“鼻汁”などから他の猫に感染が広がります

猫は人間のようにマスクやうがい・手洗いで感染予防はできないですから、とにかく罹患猫は症状が軽いうちに隔離して他の猫と接触させないことが非常に重要です。

一般的に、症状が強くなってきた頃はウイルスが体内で大量に増殖してしまっており、最もウイルスを多く飛散させてしまう時期となり感染率も高くなります。そのため『猫風邪』はとにかく早期発見と早期隔離が重要です。

【猫風邪の症状と対処】どんな症状がみられたら動物病院に連れていくべき?

先ほど罹患猫の早期発見と早期隔離が重要だとお伝えしましたが、そのためには『猫風邪』の症状をよく知っておく必要があります。

ここでは、猫風邪の初期症状から途中経過、そして重症化した場合の症状についてまとめます。
初期症状に気付くためには、日頃から飼い猫の様子をよく観察しておく必要があります。とくに冬は飼い猫の体調変化に敏感になっておくとよいですね。

猫風邪の初期症状【熱による倦怠感や食欲不振、鼻汁、咳】

猫風邪の初期症状は、ウイルスの感染と増殖によって引き起こされる一連の症状になります。

猫ヘルペスウイルスや猫カリシウイルスが、猫の気道や口腔粘膜に付着すると、すぐに細胞内に侵入します。ウイルスは細菌や寄生虫などと異なり、それ自体は生き物ではなくただの遺伝子と殻をもつ物体のようなものです。

そのため猫の細胞内に侵入し、細胞内の様々な酵素を使って、自分の遺伝子を増幅したり、殻を複製して新たなウイルスを増やしていくという特徴をもちます。

このウイルスが侵入した細胞の中には、免疫細胞とよばれるものも存在します。免疫細胞の中でも、マクロファージなどの捕食細胞は、ウイルスを捕食し異変を察知すると『サイトカイン』という炎症物質を放出します。

このサイトカインによって『発熱』が引き起こされます。
なぜ風邪をひくと熱が出るかというと、体温をあげることでウイルスが増殖するために必要な酵素を失活させたり、ウイルスを攻撃するための免疫細胞の働きを活性化させたりする役割があるからです。発熱は『防御機構』の一つということですね。

さらに、ウイルスが侵入した細胞はやがて増殖したウイルスによって乗っ取られてしまい、本来の役割を全うできず死んでしまいます。この時、細胞は『異変が起こりました』という信号を周囲に発信します。

この信号が細胞同士の連携を生み、ウイルスが付着した周辺の細胞集団が一丸となってウイルスを追い出そうとします。その防御反応が、鼻汁や咳としてあらわれます
つまり、猫風邪(ウイルス性疾患)の初期症状は、発熱、鼻汁、咳が主なものとなります。

また発熱は、ウイルスが侵入した細胞だけではなく、全身の細胞の活動に影響を与えてしまうため、倦怠感や食欲不振といった症状も引き起こします。飼い猫が何となく元気がなく食事も残しているようなら、身体に触れて熱くないか確認し、咳や鼻汁、目やにといった分泌物が増えていないか注意して観察してください。普段からしっかりと観察していれば、きっと猫風邪の初期症状に気づくことができるでしょう。

猫風邪の経過【数日~1週間で軽快】

ウイルスが粘膜に付着し、細胞内で増殖を始めると、猫の体内では上記のような防御機構が働きます。

この初期の防御機構に加えて、体内の活性化された免疫細胞による狙い撃ちの集中攻撃も加わり、『猫風邪』は初期症状があらわれてから数日~1週間程度で軽快に向かいます。初期防御機構と免疫機構がしっかりと働けば、ウイルスの増殖は早期に抑えられますし、既に増殖して細胞内にとどまっているウイルスも細胞ごと攻撃され死滅していきます。

このようにして体内のウイルスが減少していくことで、増殖期にみられた発熱、鼻汁、咳といった症状は軽くなっていくのです。熱が下がると、体内の他の細胞も正常通りの働きを取り戻すため、倦怠感や食欲不振などの症状も消えるでしょう。

猫風邪の重症化【混合感染、脱水や栄養不良による全身状態の悪化】

『猫風邪』は通常の初期防御機構と免疫機構が働くことで、自然軽快するとお話ししましたが、これらの生体反応が弱いとなかなかウイルスを排出することができず感染が長引きます。

感染が長引くということは、すなわち発熱による倦怠感や食欲不振が長期にわたって続くということです。そのため、脱水や栄養不良を起こし全身状態が悪化してしまいます。発熱が1週間以上続いたり、水分や食事が全くとれないような状態が数日でも続けば、重症化により命の危険もでてくるため、至急動物病院に連れていき点滴などの処置を受けたほうが良いでしょう。

また、ウイルス防御に体の免疫機構が総動員されている期間は、実は他の病原体に対する防御が甘くなってしまいがちです。

したがって、ウイルス感染中に細菌が体内で増殖してしまい、細菌性疾患を合併することがあります。このような状態を『混合感染』と呼びます。

ウイルスは自然軽快するのに対し、細菌は毒素を産生したり猫の細胞そのものを傷害するものもあります。したがって、重症化した場合は細菌の混合感染の予防や治療のため、動物病院で抗生剤を処方してもらうこともおすすめします。

【猫風邪の予防】『ワクチン接種』以外の予防法も!

『猫風邪』は重症化すると動物病院で治療を受ける必要もあり、少し厄介な疾患であることがわかりました。

しかし、そうは言っても、人間の風邪と同様に冬になるとウイルスが蔓延し、なかなか感染を防ぐ方法がないのも現実です。とくに外飼いの場合は、野良猫などとの接触もあり感染の確立は高くなってしまいます。

多頭飼育の場合も、1匹でも罹患すると一気に感染が拡大してしまいますよね。そこで『猫風邪』の予防には、『ワクチン接種』の徹底が呼びかけられています。

最後に猫風邪の予防について、『ワクチン接種』と、その他の飼い主にできる予防対策をまとめておきたいと思います。

猫用ワクチンについて

ここで少し話はそれますが、日本では猫用のワクチンが4種類用意されていることはご存知ですか。

4種類とは『猫パルボウイルス』『猫白血病ウイルス』『猫クラミジアウイルス』そして『猫ヘルペスウイルス1型および猫カリシウイルス』です。

猫風邪の予防目的で接種するワクチンは『猫ヘルペスウイルス1型および猫カリシウイルス』です。ワクチンは予防という利点だけではなく、副作用などのリスクもあるため、接種方法など詳細な指針が存在します。
(参考文献:米国猫臨床医協会・猫内科学報告)

日本で接種可能な4種のワクチンは、いずれも初回接種は生後12週齢までに済ませることが推奨されています。そのため、初回はペットショップなどでこれら4種類をまとめた『混合ワクチン』として接種させていることが多いです。

猫風邪のワクチン接種方法と効果

猫風邪のワクチン(猫ヘルペスウイルス1型および猫カリシウイルス)について、さらにワクチンの種類や接種時期、注意事項等の詳細を説明したいと思います。

 

【ワクチンの種類】
本ワクチンには、生ワクチンと不活化ワクチンが存在します。
生ワクチンは病原性を弱めてはいるものの『生きたウイルス』を体内に注入するワクチンです。不活化ワクチンは死滅した感染性のないウイルスを体内に注入するワクチンです。
どちらもあらかじめ体内に少量注入することによって、免疫細胞にそのウイルスの特徴を記憶させる役割があります。記憶させておくことで、次回本格的に侵入してきた際にすばやく免疫細胞が攻撃できるようにすることが目的です。
【接種時期】
6週齢以上で使用できます。12週齢になるまでは3~4週間隔で接種し、その1年後にさらに追加接種をします。以降は3年ごとの接種で効果が持続すると考えられています。
【注意事項】
生ワクチンは少量であっても感染力があるため、妊娠中の猫には絶対に接種してはいけません
猫風邪は感染力も強く、重症化すると危険な疾患ですから、飼い主の責任としてなるべくワクチン接種をするように心がけましょう

 

ワクチン以外の猫風邪の予防方法

ワクチン以外にも、予防法はあります。

冬は空気が乾燥することでウイルスが拡散しやすい環境条件となります。それに加えて、気温の低下に伴い私たち人間や猫のような恒温動物も少なからず体温が低下してしまいます。

体温の低下は免疫細胞の活動を低下させるため、ウイルスが体内に侵入してきた際の防御力が落ちてしまいます。このような環境条件と体内環境の変化によって、冬は『風邪』をひきやすい季節なのです。

したがって、ワクチン以外の『猫風邪』の予防策は下記の2点です。

  • 『ウイルスの拡散』を防ぐため、室内の湿度をあげるような工夫をする(加湿器、濡れたタオルを干す、など)
  • 『体温低下による免疫力低下』を防ぐため、室温を快適な温度に保つ(暖房器具や温かい寝床の用意、など)

ウイルスは乾いた空気中で飛散しやすくなりますので、室内の湿度をあげるだけでウイルスの拡散が予防できます。また、室温を快適な温度に保つことによって猫の体温を維持し、免疫力低下を防ぐこともできます。

 

しかし、暖房器具を使用すると空気が乾燥しやすくなりますので、加湿つき暖房器具や発熱効果のある敷物、湯たんぽなど使用する暖房器具は工夫が必要でしょう。
留守番をさせている場合などは、火事や感電などにも注意してください。

【猫風邪:まとめ】

寒い季節、飼い猫の元気がなく食欲が落ちている場合は、猫風邪の可能性を考えましょう。

熱がないか、咳や鼻汁など風邪の症状がないか注意深く観察し、熱がある場合は水分補給させることをいつも以上に意識してください。

万一、水分摂取が難しい場合や、熱が長引き数日間食事がとれていない場合は、すぐに動物病院を受診した方が良いです。点滴による栄養補給や、混合感染予防のための抗生剤による治療をおこなってくれるでしょう。

猫風邪は猫ヘルペスウイルスや猫カリシウイルスの感染によって引き起こされるため、あらかじめこれらウイルスのワクチンを接種しておくことで予防が可能です。

また、ウイルスの拡散を防ぐために湿度を高く保ったり、免疫力を落とさないように室温を一定に保つなどの飼育環境の工夫も予防効果があるでしょう。

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