肉と魚はどっちがいい?年齢や健康状態で変わる“キャットフードの選び方”

キャットフードには『肉がメインのもの』と『魚がメインのもの』があります。

飼い猫の好みで選んでいる方も多いかもしれませんが、とくに好みがない場合は“肉と魚”どちらがより猫の健康に適しているのか気になりますよね。
「猫はライオンなどと同じ肉食動物だから、やっぱり肉がいいのでは?」
「猫と言えば魚をくわえているイメージだから、魚の方がいいのでは?」
と、みなさん何となくどちらかに良いイメージを抱いているかもしれません。

今回、キャットフードに使用される主な肉(チキン、ターキー、アヒル)と魚(サーモン、スケトウダラ)について栄養学的観点から、猫の健康への影響を詳しく分析してみました。

その結果、肉と魚の差以上に、同じ家禽類の肉でも栄養素に大きな違いがあることがわかりました。飼い猫の年齢や健康状態を考慮して、適切なキャットフードを選ぶための参考にしていただけると幸いです。

 

【キャットフードの主な原材料】

キャットフードを選ぶ上で、価格はもちろん重要ですが、やはり飼い主の皆さんが一番気にかけているのは原材料ですよね。ミートミールやグレイン(穀類)など、健康に良くないものが含まれていないかといったことを確認する方も多いと思いますが、グルメな猫の場合は、メインの原材料が“肉か魚か”といったところも確認しないといけない点だったりします。

現在流通しているキャットフードは、『肉がメインのもの』と『魚がメインのもの』、そして『肉も魚も含まれているもの』の大きく3種類に分けられます。飼い猫の好みに合わせて選んでいる方も多いと思いますが…そもそも肉と魚、栄養面のちがいなどから、猫の健康への影響に差はないのでしょうか。

 

【肉(チキン・ターキー・アヒルなど)に含まれる栄養素】

キャットフードに使用される肉類と言えば、チキン(鶏)やターキー(七面鳥)、アヒル(家禽化された鴨)などが一般的です。

他にも肉メインのキャットフードでは原材料に“ミートミール”と記載されているのを見かけることもあると思いますが、こちらは牛や豚、羊などのあらゆる食用家畜の肉副産物のことであり、栄養素を判断するのは難しいので除外します。今回は、あくまで原材料として“チキン”や“ターキー”というように、肉の名称が記載されている場合を想定しています。

下記に、それぞれの肉の栄養素を示します。

■チキン(鶏)の栄養素

チキン(鶏)は100gあたりカロリー200kcalです。この200kcalを生み出す栄養素について【三大栄養素】【ビタミン・ミネラル】【脂肪酸】に分けてそれぞれ詳しくみていきましょう。

【三大栄養素】
チキン(鶏)100gあたりに含まれる三大栄養素は、たんぱく質が16.2gと最も多く、脂質が14g、そして炭水化物は全く含まれていません。タンパク質が多く含まれていることは、キャットフードに使用されるメインの原材料としてとても適した原材料であると言えます。
一方、脂質がやや多いことが気になります。子猫や成長期の若齢猫では脂質を多く摂取する必要がありますが、高齢猫や肥満気味の猫には脂質の摂取は控えるべきであり、チキン(鶏)メインのキャットフードは適さないと言えるでしょう。炭水化物は、肉食動物である猫にとっては摂取する必要がない栄養素のため、含まれていないことは全く問題ではありません
【ビタミン・ミネラル】
チキンに含まれるビタミンやミネラルのうち、ビタミンKの含有量が非常に高いのが特徴です。
ビタミンKは、血液凝固(出血した時に血液が固まる仕組み)において重要な役割を担うほか、骨粗鬆症や動脈硬化の予防にも効果が期待できる栄養素です。摂取しすぎることによる副作用などはとくに知られておらず、ビタミンK含有量が高いことは健康面ではメリットであると考えられます。
【脂肪酸】
残念なのは、チキンに含まれる脂肪酸のうち、大部分が飽和脂肪酸であることです。
積極的に摂取した方が良いと言われている不飽和脂肪酸の含有量は、それほど多くありません。飽和脂肪酸ももちろん必要な栄養素ですが、摂取しすぎると心臓病、糖尿病、悪性腫瘍などのいわゆる生活習慣病リスクが増えることも知られています
反対に、不飽和脂肪酸は、血中コレステロールや中性脂肪の値を調整する作用や、活性酸素と反応することなどから抗がん作用が期待されるなど、積極的な摂取が求められています。

 

■ターキー(七面鳥)の栄養素

ターキー(七面鳥)は100gあたりのカロリーが106kcalです。同じ家禽類の肉でも、チキン(鶏)と比べるとカロリーが半分程度ですね。また栄養素にも大きな違いがあるので、詳しく見てみましょう。

【三大栄養素】
100gあたりに含まれる三大栄養素は、たんぱく質が23.5gと非常に多く、脂質0.7g、炭水化物0.1gとなっています。栄養素の大部分をタンパク質が占めています。
【ビタミン・ミネラル】
ターキーに含まれるビタミンやミネラルのうち、ビタミンB群の含有量が高いのが特徴です。
とくに、ビタミンB6、パントテン酸(ビタミンB5)、ナイアシン(ビタミンB3)が豊富です。ビタミンB群は、体内の酵素の働きを助ける『補酵素』の役割を担い、B群のそれぞれがお互いに関係しあって働きます。いずれのビタミンBも重要な働きをしますが、例えばパントテン酸は三大栄養素全ての代謝を助ける補酵素であり、とくに脂質代謝に貢献します。
またビタミンB群の多くは、皮膚や毛根に栄養を与える役割ももち、多く含まれていることは健康へのプラスの影響があるといえます
【脂肪酸】
ターキーは脂肪酸がほとんど含まれていません
飽和脂肪酸の含有量が少ないことは健康に良い点ですが、積極的に摂取した方が良いと言われている不飽和脂肪酸の含有量も少ない点はやや気になります。

 

■アヒル(家禽化された鴨)の栄養素

アヒルは100gあたりなんとカロリー450kcalです。同じ家禽類の肉でも、チキンやターキーと比べてカロリーが非常に高いですね。また栄養素にも大きな違いがあります。

【三大栄養素】
100gあたりに含まれる三大栄養素は、たんぱく質が12.2g、脂質42.3g、炭水化物0.1gとなっています。タンパク質はほどほどで、脂質の含有率が非常に高いです。
アヒル肉がこれほど高カロリーなのは、エネルギー効率のよい脂質含有量が高いからですね。
【ビタミン・ミネラル】
アヒルに含まれるビタミンやミネラルのうち、ビタミンDとセレンの含有量の高さが際立っています
ビタミンDは良く知られているように、骨や歯の形成に重要な役割を担います
日光浴をすることで体内でも生成することができる栄養素ですが、食べ物から十分な量を摂取する必要があり、子猫から成長期の猫、さらに高齢猫まで全ステージの猫に必要な栄養素です。
【脂肪酸】
飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸ともに多く含まれています
不飽和脂肪酸が多く含まれていることは良いですが、飽和脂肪酸の含有量が非常に高く、アヒルメインのキャットフードを、子猫や成長期の猫以外に与えた場合、肥満や生活習慣病などが気になりますね。なるべく避けたほうが良いでしょう。

 

【肉メインのおすすめキャットフード】

上記のように、キャットフードによく利用される家禽類の肉でも、それぞれ栄養成分が大きく異なることがわかりました。それぞれの肉の三大栄養素をグラフにしてみると、違いがよくわかります。

いずれの家禽肉にも共通する点は、炭水化物がほとんど含まれていないという点です。またタンパク質が比較的豊富にふくまれているという点も共通しているでしょう。

一方、脂肪の含有量にはそれぞれ大きな違いがみられます。アヒルやチキンは脂肪の含有量が多く、ターキーは脂肪がほとんど含まれていません。

よく脂肪は必要のない栄養素だと思われがちですが、子猫や成長期の若齢猫では脂肪は多く摂取した方が良い栄養素です。したがってアヒル肉メインのキャットフードは全ステージの猫におすすめできるものではないですが、成長期の猫に与えると健康に良い影響が期待できる場合もあります。

なお、肉メインのキャットフードの中では、やはりタンパク質と脂質がバランスよく含まれているチキンメインのキャットフードが最もおすすめであり、全ステージで使用しやすいキャットフードでしょう。

肥満気味の成猫や老齢猫では、脂肪が少ないターキーメインのキャットフードを選ぶことをお勧めしたいですが、なかなか見つけられないかもしれません。

下記にチキン、ターキー、アヒルをメイン(原材料の一番初めに記載)としているキャットフードを参考までにご紹介しておきます。

チキン(鶏)メインのおすすめキャットフード
・ナチュラルチョイス(アメリカ)
・カナガン(イギリス)
・ジャガー(イギリス)
ターキー(七面鳥)メインのキャットフード
・ピュリナワン(アメリカ)
アヒルメインのキャットフード
・ファインペッツ(オランダ)

 

【魚(サーモン・スケトウダラなど)に含まれる栄養素】

続いて、キャットフードに使用されるもう一つのメイン原料である魚の栄養素はどうなっているのか見ていきましょう。キャットフードに使用される魚類と言えば、サーモン(鮭)やスケトウダラ、ニシンなどの白身魚がほとんどです。
下記に、白身魚の代表としてサーモン(鮭)とスケトウダラ(鱈)の栄養素を示します。

■サーモン(鮭)の栄養素

サーモン(鮭)は100gあたりカロリー138kcalです。魚メインのキャットフードに最もよく使用されているサーモン(鮭)について、【三大栄養素】【ビタミン・ミネラル】【脂肪酸】に分けてそれぞれ詳しくみていきましょう。

【三大栄養素】
サーモン(鮭)100gあたり含まれる三大栄養素は、たんぱく質が22.5gと最も多く、脂質が4.5g、そして炭水化物は0.1gとほとんど含まれていません。
タンパク質が多く含まれており、脂質も適度に含まれているということで、キャットフードのメイン原材料として理想的です。
【ビタミン・ミネラル】
サーモンに含まれるビタミンやミネラルのうち、ビタミンDやビタミンB群の含有量が高いです。
ビタミンDは、先ほども説明したように骨や歯の形成に必要な栄養素、ビタミンB群は体内の様々な物質の代謝や、皮膚や毛の栄養として必要な栄養素になります。多く含まれていることは健康に対して、大きなメリットです。
【脂肪酸】
脂肪酸は比較的少な目ですが、その中でも不飽和脂肪酸の含有量が多めであり、栄養面で非常に優れていると言えます。
不飽和脂肪酸といえば『魚に多く含まれている』といわれているように、サーモンもその傾向にあります。とくにドコサヘキサエン酸の含有量が高めです。

 

■スケトウダラ(鱈)の栄養素

スケトウダラ(鱈)は100gあたりカロリー79kcalです。サーモンと比べてカロリーが低いですが、栄養素にはどんな違いがあるでしょうか。

【三大栄養素】
スケトウダラ(鱈)100gあたりに含まれる三大栄養素は、たんぱく質が18.1gであり、脂質と炭水化物はそれぞれ0.2gと0.1gで、いずれもほとんど含まれていません。
スケトウダラはその身のほとんどがタンパク質といえますね。
【ビタミン・ミネラル】
スケトウダラは、ビタミンB12とヨウ素の含有量がとびぬけて高いです。
ビタミンB12は、神経細胞や免疫細胞の修復をする働きがあり、摂取しすぎても副作用などはないと考えられているため多く含まれていることは健康へのメリットといえるでしょう。
ヨウ素(ヨード)は、甲状腺ホルモンの材料の1つです。甲状腺ホルモンは代謝に関わるホルモンで、不足すると代謝が落ち様々な不調が出てきます。ヨウ素も過剰に摂取しても余剰分は排泄されるだけなので、こちらも健康への問題はありません。
【脂肪酸】
最後に『魚に多く含まれている』と言われている脂肪酸についてですが、残念ながらスケトウダラは飽和脂肪酸も不飽和脂肪酸もほとんど含まれていません
このあたりは、同じ白身魚でもサーモンとは大きな違いですね。

 

【魚メインのおすすめキャットフード】

魚メインのキャットフードには、サーモン(鮭)やスケトウダラなどの白身魚がよく使用されます。それぞれの三大栄養素をグラフにしてみることで、その違いを改めて確認してみます。

いずれも共通するのは、炭水化物がほとんど含まれていない点です。これは家禽肉も同様でした。また、タンパク質が豊富にふくまれているという点もサーモン、スケトウダラに共通しています。猫の総合栄養食(キャットフード)のメイン材料としては適しているといえるでしょう。

一方、脂肪の含有量は両者で大きな違いがあります。
サーモンは非常にバランスよくタンパク質と脂質が含まれているのに対し、スケトウダラは栄養素のほとんどがタンパク質です。先ほど、肉メインのキャットフードの解説でも書きましたが、成長期には多くの脂肪を必要としますし、成長期以外の全ステージでも脂質は必要な栄養素です。そのように考えると、魚メインのキャットフードを選ぶ場合は、サーモンが使用されているものを選ぶと良さそうですね。

サーモン(鮭)メインのおすすめキャットフード
・シンプリー(イギリス)
スケトウダラ(鱈)メインのキャットフード
・モグニャン(イギリス)

 

【肉と魚】猫の健康に良いのはどっち?

キャットフードによく使用される“肉”と“魚”について、それぞれの栄養成分を詳しくみてきました。

いずれも三大栄養素のうち、炭水化物がほとんど含まれておらず、タンパク質が多く、肉食動物である猫の総合栄養食として適した材料であることがわかりました。
一方、肉も魚も脂質の含有量に大きな差があることがわかりました。脂質は多くとりすぎると健康への悪影響がある一方、子猫や成長期の猫では比較的多く摂取する必要がある成長に重要な栄養素です。

したがって、肉と魚のどちらが良いかという選択ではなく、肉でも魚でも、タンパク質と脂質がバランスよく含まれているキャットフードを選ぶことが重要であると考えられます。
さらに全ステージの猫に使用できることを考えると、肉ではチキン(鶏)、魚ではサーモン(鮭)が理想的だといえます。

一方、肥満気味の猫や、高脂血症、糖尿病などの持病がある猫、極端に脂質を抑えた食事を与える必要がある猫には、肉ではターキー(七面鳥)、魚ではスケトウダラ(鱈)をメインに使用したキャットフードを選ぶとよい場合もあるでしょう
療法食に飽きて食べなくなった場合などに試してみることをおすすめします。

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