【キャットフードの製造方法】原材料の仕入れ先や製造工程を詳しく紹介

獣医師として犬や猫の飼い主さんからよく受ける質問が「ペットフード」の安全性についてです。とくにドライフードの場合は、出来上がったあとの風味豊かで、かわいい形をしたものしか目にすることがないため、どのように作られているか全くわからず不安になりますよね。

私は獣医師として、ペットフードに含まれる添加物や薬品の調査をしていたこともあり、ペットフードを製造している工場の見学にも何度か足を運んだことがあります。

今日は、ドライのキャットフードの作り方について、有名なキャットフードを例に、原材料の仕入れからパッキングまでを詳細にお話したいと思います。

大切な飼い猫のために安心できるキャットフードを選ぶためには、どういった原材料がどのように加工されて「ドライフード」として販売されているのか、ぜひ知っていただきたいと思います。

知った上で、キャットフードの裏面に記載されている原材料を見てみると、メーカーのキャッチフレーズや口コミだけで選ぶのではなく、自分で判断して飼い猫のために最適な質の良いキャットフードを選ぶことができるようになるでしょう。

【原材料の仕入れ方】肉・魚・穀類・油脂などの仕入れ先は記載されない現実

日本で流通しているキャットフードでは、原材料がすべて明記されていないと販売できないという法律ができて、最近では飼い猫に与えるキャットフードの原材料をきちんと確認する飼い主さんも増えてきました。

原材料と製造国は必ず確認してキャットフードを選ぶという方も多いでしょう。
しかし、原材料の仕入れ先などは全くわからないのが現実です。今日はそのあたりの不透明な部分も、私のわかる範囲でお話したいと思います。

 

【プレミアムフード】カナガンキャットフードの場合

主な原材料

  • 乾燥チキン、骨抜きチキン生肉、サツマイモ、ジャガイモ、鶏脂、乾燥全卵、チキングレイビー、サーモンオイル

乾燥チキンは、副産物(骨・内臓・羽・足・嘴・頭部など)を含まないくず肉を乾燥させた(場合によっては粉状にした)ものを仕入れていることになります。
乾燥させるのは水分をなくすことでカビや細菌の繁殖を防ぐ目的が第一でしょう。カナガンキャットフードは添加物不使用ですから、乾燥させることで防腐剤などの添加物を使用しなくてよいようにしていると考えられます。この乾燥チキンは専門の外部加工業者から仕入れているでしょう。

骨抜きチキン生肉は、その名の通り骨なしのチキンのくず肉と考えられます。食肉加工業者から大量のくず肉を冷凍した状態でおそらく仕入れているでしょう。冷凍することでこちらもカビや細菌の繁殖を防ぐことができ、保存料などの添加物を使用せずにすみます。
また原材料として人間の食品用としては出荷できないチキン(病気の鶏、死亡した鶏、使用が禁止されている薬品が使われた鶏など)が含まれているかどうかについては、それぞれの販売メーカーおよび製造工場によるとしか言いようがありません。
カナガンは『ヒューマングレード』の工場で製造されています。ヒューマングレードの工場では、人間の食品用として使用できる原材料以外は使用できないため、まさに人間用の食肉製造業者からくず肉を仕入れていると考えられます。

サツマイモ・ジャガイモは、農家からおそらく人間用には出荷できないくずものを仕入れていると考えられます。こちらは品質への影響はそれほど心配しなくて大丈夫です。


例えばりんごなども傷があったり、大きさが極端に小さかったり大きかったり、色が悪いものは『リンゴジュース』に加工されて利用されるようなイメージです。

鶏脂は、専用の加工(レンダリング)業者から油脂およびオイルに加工されたものを仕入れているでしょう。鶏脂は、鶏の副産物をレンダリング(固形物と液体物に分ける作業)して出てきた液状の物質から生成された油脂です。
油脂は酸化すると毒性をもつ物質になってしまうため、通常酸化防止剤などの添加物が加えられています
カナガンは無添加ですので、これらの加工品にも添加物を使用しないように指示しているとすれば、やはり冷凍状態などで仕入れられていると考えられます。

※ただし、キャットフードの原材料として記載の義務があるのは、キャットフード会社が仕入れた後の加工段階についてのみです。そのため、加工品として仕入れている油脂やオイルには添加物が含まれていないとは言い切れません。

乾燥全卵は、あまり耳慣れないかもしれませんが、お菓子作りや私たちがよく口にするマヨネーズなどにも使用されている鶏の全卵を乾燥させて粉末状にしたものです。
こちらは一般的に流通している加工品を仕入れていると考えられるでしょう。やはり鶏卵そのままを使用すると腐敗などの問題がでてきますが、乾燥全卵を使用することで無添加でも品質を維持できるように考えられているのでしょう。

 

【一般的なフード】ロイヤルカナン

主な原材料

  • 家禽ミート、とうもろこし、植物性繊維、植物性分離タンパク、コーングルテン、小麦、動物性脂肪、加水分解動物性タンパク、ビートパルプ、魚油、大豆油

家禽ミートは、専用の加工(レンダリング)業者から仕入れています。その加工会社には、鶏、アヒル、七面鳥、鴨、ガチョウなどの家禽の副産物が食肉加工会社から運ばれてきます。
それらをレンダリング(高温加熱し、固形物と液体部分に分ける)処理をして、固形部分のみを粉末状にしたものが家禽ミールとして出荷されています。

トウモロコシ・小麦・ビートパルプ・コーングルテンは、いずれも家畜用飼料として一般的に流通していますので、飼料会社から仕入れていると考えるのが一般的でしょう。


トウモロコシときくと黄色のプックリとした甘いものをイメージするかもしれませんが、家畜用のトウモロコシは白あるいは橙色で小粒な水分の少ないほっそりとしたトウモロコシです。海外の農場で大量生産されており、日本の場合は家畜用トウモロコシの9割以上が米国からの輸入になります。

動物性脂肪は、専用の加工(レンダリング)業者から加工されたものを仕入れているでしょう。
動物性脂肪とのことですから、牛・豚・羊などの家畜の副産物をレンダリング処理する過程で得られた油脂はもちろん、鶏脂、その他家禽の脂、さらにどんな動物の脂が含まれているかまではわからないのが現実です。

 

【ドライフードの製造工程①生地作り】固形材料の粉砕と攪拌

原材料は均等に混ぜ合わせるために、まず大きなハンマーのようなもので粉々に粉砕されます。
カナガンキャットフードの場合は、チキン・サツマイモ・ジャガイモなどの固形材料を粉砕したところに、乾燥全卵が加えられて、大きな撹拌機で均一になるように混ぜ合わされます。

ロイヤルカナンの場合は、トウモロコシや小麦・ビートパルプなどの固形原材料を粉砕することになります。そこに、仕入れた家禽ミール・コーングルテンなど粉状のものを加えて、こちらも大きな撹拌機で均一に混ぜられます。

均一に攪拌されたものは、イメージとしてはお菓子作りのミックス粉のようなものです。ここに水分を加えてキャットフードの土台となる生地のようなものを作ります。ここで使用される水質は、製造される工場によってピンキリと言えます
日本でも人間が飲用水として利用できる水質のものを使用する工場もあれば、工場の洗浄などに使用する水と区別なく使用している場合もあります。少なくともヒューマングレードの工場であれば、水質も問題のない水が使われていると考えられます。

カナガンキャットフードの場合は、水と一緒に『チキングレイピー』を加えているようですね。おそらく風味豊かに仕上げるためだと思われます。
チキングレイピーはお料理をする方ならよく知っていると思いますが、チキンを焼いたり煮たときに出るエキスのことです。粉末状のものなら原材料に『チキンエキス』と記載されているのを見かけたことがある人もいるでしょう。

 

【ドライフードの製造工程②成形】型に入れて高温・高圧で焼き固める(エクストルード)

こちらの工程は、エクストルードと呼ばれ、ドライフードを作る過程で必須の重要な工程です。

カナガンキャットフードもロイヤルカナンもほとんど同じで、工程①でできあがった生地を型にはめながら高温で焼き固めます。そして高圧をかけてそれぞれの型を通過させて、ポンっと押し出します。

この時点で既に私たちが普段目にするキャットフードの大きさ・形になっています。成形されたキャットフードの土台は、型崩れが起きないように、いったん冷却されます。

焼き時間と温度

メーカーによってばらつきはありますが、殺菌および反応性酵素を失活させるために、最低80℃以上、10秒以上の熱が加えられています。一般的には100℃以上で60秒程度加温されていると考えておけばよいでしょう。
殺菌や酵素の失活という点では十分な熱が加えられています。

 

【ドライフードの製造工程③コーティング】乾燥と各種添加物の添加

いったん冷却された土台を、再び徐々に温度をあげながら乾燥させます。ここでも型崩れが起きないように温度管理が厳密に行われています。乾燥させる目的は、ドライフードの特徴でもある長期保存を可能にするためです。

ドライフードの水分含有量(参考:ペットフード公正取引協議会)

ドライフードは水分含有量が10%以下のものと定義されています。

水分量が多いと、キャットフード中に含まれる栄養分を、成形後の過程で含まれたわずかな微生物(常在菌)が増殖してしまったり、カビが生えたりといったことが起こる可能性がでてきます。水分をできる限り減らし、カリカリのドライフードに仕上げることで添加物なし(少なめ)でも長期保存できるようになります。

乾燥させた後は、再び冷却しながら様々な物質が加えられ最後のコーティングをしていきます。ここで加えられる物質には大きく2つの目的があります。

1つは、高温処理によって失われた栄養素の補給(①)です。
そしてもう1つが、風味づけを主な目的とした油脂の添加(②)です。

添加物①:ここで添加される栄養素は、カナガンもロイヤルカナンもそれほど違いはありません。ビタミン・ミネラル・アミノ酸などが添加されます。

もちろん添加する原材料の品質はピンキリですが、そこまではキャットフードに記載れている原材料から判断することは難しく、初めにも書きましたが販売メーカーも仕入先などの詳細を記載する義務はありません

添加物②:油脂での風味付けおよび最終コーティングについては、カナガンとロイヤルカナンのそれぞれを比較してみます。

【プレミアムフード】カナガンキャットフードの場合

カナガンキャットフードに使用されているコーティング用の油脂は『鶏脂』と『サーモンオイル』です。
カナガンは添加物未使用のため、必要な栄養素を加えた後にこれらの油脂でコーティングして、キャットフードが完成します。

【一般的なフード】ロイヤルカナンの場合

ロイヤルカナンに使用されているコーティング用の油脂は『動物性油脂』と『魚油』および『大豆油』です。動物、魚にくわえて植物性油脂も含まれていることがわかります。
一般的なイメージでは植物性油脂の方が良質と思われがちですが、両者に大差はありません。どちらかと言えば、動物性油脂と比べて魚や植物性油脂は酸化しやすい傾向にあります。

さて、ロイヤルカナンでは、このコーティングの過程で原材料に記載されている『酸化防止剤(BHA、没食子酸プロピル)』が添加されています。

BHAは主に油脂の酸化防止の目的で人間の食品にも使用される添加物です。こちらも油脂の酸化防止に使用される食品添加物で、日本ではバターなどに使用されていることで有名です。

BHAより強力な酸化防止剤を使用したケースでは染色体(DNA)に変異を起こす可能性のあることがわかっており、発がん性のリスクが高くなってしまいます。

 

【ドライフードの製造工程④パッキング】不純物の検査をしたのち検量されパッキング

以上3つの工程を得て最終形としてできあがったキャットフードは、金属片などの不純物が含まれていないか、金属探知機などを使って最終検査が行われます
そして検査を通過したキャットフードは計量され、専用の袋にパッキングされていきます。

カナガンキャットフードの場合は、1袋の内容量は1.5kgです。体重4kgの猫に1日50g与えるとして約1か月分ですね。添加物などの保存料が一切入っていないキャットフードですから、到着してから1か月程度で食べきることができるサイズはちょうど良いと言えるでしょう。

 

ロイヤルカナンの場合は、1袋の内容量は2kgです。こちらも体重4kgの猫に1日50g与えるとして約1か月半の分量となります。酸化防止剤が加えられていますが、その他の防腐剤や保存料は入っていませんので、早めに食べきるサイズが良いでしょう。

 

【キャットフードの製造方法と安全なキャットフードの選び方】

ドライのキャットフードの作り方について、原材料の仕入れからパッキングまでを詳しくみてきました。

キャットフードの裏面に記載されている原材料が、どういった工程で普段目にするドライフードの形になるのか、はっきりとイメージができるようになりましたか。
製造工程を知ることで、飼い主として安心できる良質なキャットフードを選んであげることにつながるのではないかと考えます。

販売メーカーが原材料として記載しているものは、販売メーカーが製品加工する工程において使用されているものの名称だけです。したがって、原材料名をみて、いったい何が含まれているのかわからないようなもの(○○ミール、動物性○○、穀類など)はなるべく含まないキャットフードを選んだ方が良いでしょう。

本サイトではリスクのあるものを含まない安全なキャットフードをご紹介しています。併せてご覧いただけますと幸いです。
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